奇岩城は個性重視/一針一針が針小棒大

留園(りゅうえん)。ずっとここは豫園(よえん)の別名かと思い込んでいた。すみません。ガイドブックを見て予習してきたのに、全然わからないと思ったら、別の場所だった。道理で。

要するに、地方の有力者が作った庭園。というと、まぁ有力者でない人が作った庭園なんか、あるのかよ、という話になっちゃうわけだが、庭園である。 中国の庭園では奇岩を重んじるとのこと。この辺りは鍾乳岩が多く、へんてこに穴が空いた奇っ怪な岩をよく産するらしい。太湖(という湖)周辺で産するのでこれを太湖石と称する。 これが留園のシンボルであり、見ればすぐ留園とわかるのであり、ある意味個性重視というか、たしかに唯一無二という感じはある。 20091128_163623_1.jpg ところで私は、とにかく寒いし、体調が悪い。ガクガクブルブル。もっとちゃんとした防寒具を持ってくるべきだった。初日が暖かかったので油断していたのだが、かなり冷え込んだ。食事が不衛生だったとは思わないがこってりした中華料理攻めが胃に来たのか、お腹の具合が悪いので辛かった。

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敷石に金魚のモザイクを発見。金魚である友人のために撮影しておく。ふと気づいたのだが、中国で見かける金魚の像は、どれも上から俯瞰した図が多い。珍妙だという気もするが、よく考えてみると、ガラス器ができるまでは池の魚を上から見るのが普通だったわけで、歴史的建造物の多い中国では、上から見た金魚の図というのがイメージとして定着しているのかもしれない。 もう少し進むと、花と銭の敷石モザイクがあった。ガイドさんによると中国語の「花」という音は「金を使う」という音に通じるのだそうで、「銭」と「花」で「稼ぐ」「使う」というサイクルを象徴しているらしい。なるほどこの庭園も、たいへん稼いでたくさん使ったな、という感じがする。 この庭園にはレベル別の応接間があったそうで、軽い客と賓客で異なる応接室を使ったらしい。賓客の応接室はさらに男女別に仕切られている。常に主人(ホスト)は東に座る習慣。中国語では「私は東に座る」が「私があなたにおごる」に通じる音であるらしい。 庭園内にはきれいな調度品がたくさんあって、そうしたものを楽しむのも良さそう。建物、窓枠などの彫り物も奥に行くほど精妙な細工がなされている。古い纏足の靴なども見ることができた。子供用みたいに小さい。 バスで移動。刺繍博物館へ。 この地方の特産であるという刺繍は絶品。壁に貼ってある写真(マリリン・モンロー)に近づいて解説員が言う事には「これは刺繍です」。よく近づいて目をこらすと、たしかに縫い目がある。これは中国人によくある針小棒大な話じゃない。ホントにあった話だぜ? 写真に間違うほど精巧。ただ、撮影禁止だったので、持って帰ることはできなかったのだが。 ものによっては、表裏別の絵もあるなど、技工の局地。あなた、自分が見ている猫の刺繍をさっと裏返したら、違う色の猫になっていたら、どう思います? 一枚布だぜ? ほんとにびっくりしますよ。表が虎で裏がライオン、とかだとむしろ違いすぎてフーンだが、これもよく考えると大変なこと。 ただし、大変に高価。大きな(たとえばA3くらいの)ものになると一人のアーティストがつきっきりで数ヶ月かけて縫うそうで、数十万円の買い物になる。無理無理。3万円の格安ツアーの客が買うわけないじゃん。小さいものもあるが、やはり大きなものに比べると見劣りがするし、それでもけっこうな値段がする。 ここでもがみさんの体調不良はマックスに達し、青い顔して椅子に座っているのがやっとこさ。売り場に併設のカフェで緑茶5元を飲んで体調を戻す。 レストランで食事。同行のツアー客から、「急須のフタを開いてお茶の催促をするのは香港の飲茶だけだから、ここの人はたぶん分からないと思うわ」と教えてもらう。琵琶の奏者がまわってきて、カミさんが注文。「蘇州夜曲」だったか「夜来香」だったかどっちかを弾いてもらってのだが、聴いたにもかかわらず忘れた。 バスのスーツケースからタートルネックのセーターを出して重ね着。パワーアップ。なんとか寒さをしのげるようになった。ふぅ。