至宝の叩き売り/上海展覧中心・芸術館

バスで移動。「上海展覧中心」の中の「芸術館」とかいう名前の建物へ。どうもこの建物に関するデータが残っておらず、この恐るべき施設がどのようなものだか、よく把握していなかったのだが、ネットでなんとか情報を見つけた。これだ。 参考:上海展覧中心 政府系の施設で、国内の芸術品、玉(翡翠)などを保護する役目がなんだとか、なんとか、あれこれ聞いた気がするのだが、あらかた忘れてしまった。

カミさんはそもそもこの日相当体調が悪くて、この建物に入ってもしんどそうだった。同じツアーの別のお嬢さんもかなり体調が悪かったようなので、もしかしたら何かツアーの食事で悪いものに当たったのかも知れないが、他の人は全然平気みたいだし、偶然かもしれない。なんせ寒かったからね。 今回のツアーはとっても安かった。3食付4泊5日で3万円とか、破格。その理由の一つは、いくつかお土産屋などを巡ることだったと思われる。どうもこの芸術館もその一つだったらしい。全員参加が求められているらしく、体調が悪いお嬢さんはバスで休んでいたかったらしいが、できるだけ参加して欲しいと言われたようだ。 最初の内は、まったく別に全然おかしなところはなかった。館内には大きな(高さ150cmくらいもあるような大物の)芸術品が並べられており、館内のガイドが1人、案内をしてくれる。「この作品は、○○の時に誰それが作成したもので……」といった感じ。「材料となっているのは○○で……」といった説明も、まったく不審な点はなかった。 我々一行が調度品の並ぶ部屋に通されたところから、少しおかしなことになってくるのだが、最初の内はまだ気づかなかった。部屋に入ってまず、ガイドのお姉さんが、ガラスの戸棚に入った芸術品(サイズだいたい20cmくらい?)を一つずつ説明し始めた。水入り瑪瑙の彫刻品、水晶の彫刻品、ラピスラズリの彫刻品など、美しい美術品が6点、戸棚に入っている。6つの美術品全部について説明し終えたところで、お姉さんが尋ねた。 「さてみなさん、この芸術品、6つ全部でいくらだと思いますか?」 一行は首をひねる。さて検討がつかない。大変手が込んだ彫刻品であるし、材料も凝っている。こんなところに飾られているのだし、さぞかし高いことだろう、と想像した。少なくとも、僕はそう思った。 「この6つ全部で、100万円です」 なんと。桁一つ違う金額を想像していた。思わず「安い」という声が漏れる。 「安いと思ったら、どうか買ってください」 一行、苦笑する。買えって言われても……しかし、お姉さんだけが笑わない。 「これだけの品がこんな金額で買えるのは本当にいい機会です。何年かたてば、値段も上がってみなさんの財産になります。いかがですか、そちらの方」 彼女が何を言おうとしているのか、しばらくわからなかった。 「今なら、6つ全部買って下さった方に、こちらの水晶をおまけでおつけします。さあ、どうぞ買う方いませんか」 ……この人は、本気で、我々に売り込もうとしているのだ、この芸術品6点セットを。 一行、ドン引き。 いや、そりゃこのできばえからして安いとは思うけどさ。我々は3食付き4泊5日3万円の格安ツアーの一行なわけだし、いきなし何の心の準備もなく通された部屋で100万円の取引を持ちかけられても、答えられませんがな(汗) 将来値段が上がる保証もないし。 お姉さん、ますます必死。 「今、隣の部屋で1セット売れたそうです。もう隣の部屋は売り切れました。さあどうですかみなさん」 いやいやいや。何クロージングに入ってんだコラ。 後で聞いたところでは、「結局あの6点セット、1つ10万まで値を下げたらしいですよ」とのこと。そこまで下げても誰も買わなかったらしい。そりゃーそうだ。というかそんなに値が下がるもんだったら、むしろ買わない。 みんな苦笑しながら、部屋を移動。土産物売り場に出た。彫刻品などアクセサリーなどを売っている。ここで自由時間ということで、まぁぶらぶら眺める。しかしここでも、売り方がちょっとおかしい。 ある男性(うちのツアーではなかった)が、商品ケースに近づいて、売り場店員に声をかける。 「ちょっとこれ見せてもらえる?」 「あ、このケースの中、全部で3万円でいいです」 いや待てコラ。誰もケース全部買うとか言ってねーだろ(汗) 普通に見たいっつってんのに。バナナじゃあるまいし、なんで全品叩き売ってんの! 上海に来て初めて、商売の下手な人たちを見た気がした。 20091130_190618_0.JPG体調の悪いお嬢さんが風邪気味ということで離脱。先にホテルへ。うちのカミさんは上海ガニへの執着を捨てられない。 夕食は上海ガニ。けっこう小さい。中央の味噌だけ食べるように、とガイドさんに教わったんだけど、それだとあんまり食べるところはないなぁ。後で聞いたら、150元(2250円)ほどのものだったそうで、より大きいのはもっと値段が高くなるらしい。ねっとりと濃い味。ポン酢をつけて食べるとさっぱりして旨い。 カミさん体調悪くダウン状態。 ホテルのフロントはクリスマスの飾り付け中だった。 ホテルに戻った時に、お隣の部屋の老夫婦がご親切に、カミさんのために風邪薬を分けて下さった。 カミさんはなおも上海テレビ塔の展望台で夜景を見たがっていたが、一度寝たら甦って来なかった。起こしたんだけどネ。 20091130_203906_0.JPG