味集中が足りません/奇遇日記

カミさんの所用で赤坂へ。16時頃に到着し、東京ミッドタウンなどを徘徊する。小腹が空いたので、お店に入ろうということになった。

わたしが挙げたのは六本木交差点近くのRバーガー。謎の饅頭風味ハンバーガー。

カミさんが挙げたのは一蘭。恐怖の「味集中カウンター」採用のとんこつラーメン。

どちらに入るか迷い、じゃんけんで勝った方の推挙をとることにした。勝ったのはカミさん。よし、じゃあ一蘭だ。

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一蘭を知らない人のために紹介しておこう。一蘭の最大の特徴はそのとんこつスープでもなく、「秘伝のたれ」でもなく、独自の店舗構造にある。全席がブースになっていて、隣と仕切られているのだ。店の入口には券売機と「どのブースが空いているか」を示す電光掲示があり、そこで空席を確認してから、カウンターに座って食券を渡す(黙って)。座席に座ると、目の前にすだれがかかっており、店員の顔が見えない。店員からも顔を見られる心配がない。そのため、女性も恥ずかしい思いをすることなく、思う存分、ラーメンを食べることができる。注文は注文シートに記入して、味の濃さ、たれの量、麺の堅さなどを指定する。声を出さずにボタンと用紙で替え玉を頼むシステムもある。箸袋が追加注文の用紙を兼ねているのだ。つまり、この店では、まったく誰にも顔を見られることなく、一度も声を出す必要なく、ラーメンを食べることができる。これが「味集中カウンター(特許出願中)」である。

非常に効率を追求しているのはわかるのだが「ラーメン食うのにそこまでやるか?」というこだわり。このブースに頭を突っ込んで、誰からも顔を見られることなく黙々とラーメンを食べていると、ラーメンを食べることがまるで犯罪であるかのような、イケナイ気持になってくる。そもそも、この店に夫婦で語らいながら入ること自体が、味集中カウンターへの冒涜ではないのか。どこかの店舗にはカップル席(仕切りを外せる席)があるという噂も聞き及ぶが、未だ見たことがない。

ちなみに、ラーメン自体は甘めの豚骨スープに細麺で、比較的正統的な博多ラーメンだ。スープはやや甘いが、「秘伝のたれ」が辛口なので、注文時に「秘伝のたれ」の量を調節することで味を変えることができる。私は甘口が好みなので、次回は「秘伝のたれ」なしでもいいかなー。全体としては、ラーメンは美味しいと思う。

夫婦でしゃべりながら食べることに罪悪感を感じながら食べていると、背後の通路を通る女性がカミさんを見て「あっ」と声をあげた。見るとパラサイヨのA嬢だ。奥のカウンターにはYもいる。パラサイヨのクリスマスパーティが今夜、六本木で行われるので、その前に腹ごしらえに来たらしい。奇遇だ。びっくり。

……味集中カウンターで知り合いにバッタリ出会うなんて、味集中が足りん! 反省しなさい!

カミさんが「せっかくだから行ってくれば。これも縁だし」と言ってくれたので、用事を済ませてから合流することにする。嬉しい。