コペンハーゲン:遊びのある都市

コペンハーゲンは割と期待していたところの一つだったんだけれど、実際のところ、期待しすぎていた感じ。 なんかね、イメージでは白亜の宮殿みたいな街を想像していたわけですけれども。そんな街があるわきゃない。あるわきゃないか。残念。

星形要塞カステレットの北側に接岸。そこから人魚像が近くにあるはずだ、というので、まず徒歩で攻めることにする。

あった! 港からすぐそこ、目の前、歩いて数十メートルのところに……いや、この人魚像は足が魚だ。アンデルセンの人魚像は、人間の足をしてるんじゃなかったっけ? 

その向かいにも像が。おお! これこそ……いや毛深いな。これ、牙むいてますけれど。熊? 

とりあえず、カステレットの周り、内部、あちらこちらに像がある。人魚像もあるし、天使像もある。紛らわしいことこの上ない。

まぁなんとか見ることができたので、よかった。

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歩いてオストポート駅へ。ヘルシンゴアへのチケットを購入するため、チケット売り場の窓口へ。「行って帰ってくるんだったら、24時間チケットがいい。1人115クローネ」と言われて、思考が停止する。えーと、2人だと230クローネだよな。あれ、僕260クローネしか持ってないんですけれど。たしか僕9000円両替して360クローネで、カミさんに100クローネ渡したから…… 永遠に漂っていく私に横からカミさんが「クレジットカードで払えば?」。あ、そうか。そんなのも持ってたっけ。

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いや、今までヨーロッパでは1日券でもそんな高額にならなかったので、ちょっと虚をつかれた。やはり北欧は物価が高い。

その分、車内はいたって快適。音楽のイヤホン、天井にはブックライト、雑誌と新聞が置かれていて、ゴミ袋もある。椅子のクッションは首の位置に合わせて調節可能。飛行機みたいな座席だ。時々、検札が来る。制服のふとったおばさん。なぜかみんな制服の太めのおばさんばっかりだ。

ヘルシンゴア(この名前も、正確な発音がよくわからない。ヘルシンゴー、ヘルシンオアとする本もある)に到着すると、クロンボー城が見える。歩いてそちらへ向かう。クロンボー城はゴツくて大変立派な城。海沿いに建築されていて、要塞を兼ねてただけあって無骨な外観をしている。

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ぐるりと中庭を回って道が続いているんだけれど、海側の城壁にはズラリ大砲が並んでいた。これで海を通る船から通行税を徴収(カツアゲ)したという。今でも海峡を船が行き来しているので、一発ぶっぱなせば国際問題にできそう。

ここは地下牢が面白かった。しかし建築家にしてみたら「地下牢が面白い城」ってのは侮辱なのかもしれない。

先祖を自慢するヤツはジャガイモと同じだ。そいつのいいところは土の中に埋まっている。――古いジョー

この地下牢、ホンモノの地下牢跡を解放しているらしいが、わざわざ灯りを消して真っ暗にしてあり、そこを歩き回って出口を探すという、肝試し仕様になっている。入り口で懐中電灯と電池の自販機を見た時はまさかと思ったが、実際、懐中電灯があった方がいい。我々は懐中電灯を買わずに中に入ったので、デジカメの液晶の灯りを使ってほそぼそと歩いた。なお、カミさんは懐中電灯ない方が怖くておもしろーい、と言っているが保証はいたしかねる。ホント暗いんだから。

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地下には勇者ホルガー(ホルガー・ダンスクまたはオジェ・ル・ダノワ@Wikipedia)の像が置かれていて、「いつか災厄の時に立ち上がってデンマークを救う」という設定になっているらしい。また、世界各地のヒーローとして「アーサー王」「三年寝太郎」などを紹介……もうちょっとマシなヒーローは日本にいなかったのか。と思ったが、「眠り続ける英雄」というテーマで集めてあるのね。

ホルガーの像を過ぎると、暗闇の中、出口を求めてさまようことになる。あちこちの壁に浮かび上がる文字(蛍光塗料)は「DOES HEROES SHINE BRIGHTEST AT A DISTANCE?(原文ママ)」など謎のキャッチコピーと、地元企業の写真や住所を書いた宣伝プレート(レストランなど)。……ほんとにここは地下牢なんだろうか。 現地の小学生が遠足でやってきて、真っ暗過ぎる地下牢をきゃあきゃあ騒いでクリアしていくのが微笑ましくもありました。

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電車でコペンハーゲンに戻って散策。基本的に物価が高いし、デザイン系のものも、あまりヒットに巡り会わない。工芸博物館が16時で終わってしまっていたし。マクドナルドで価格調査をしてみたら、ビッグマックセットが1000円くらいしてた。ぎゃわー。

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街を歩いていて、カミさんが『地球の歩き方』で読んで使ってみたいと言っていた無料レンタル自転車の駐輪場を発見。これがなかなか独特のシステムで、面白い。

  • 各自転車は、特定の自転車置き場に繋留されている。自転車置き場には鎖付きのキーがあり、そのキーを自転車に入れて繋留する(とコインが戻る仕組み。後述)。
  • 駐輪場で20クローネ(約500円)入れて繋留を外す(20クローネは自転車のハンドル部分に収納される)。自転車置き場でキーを自転車に入れ繋留すると20クローネ戻ってくる。(乗ったのと同じ自転車置き場でなくても可) 原理的には「コインが戻るコインロッカー」みたいなもの。
  • ハンドブレーキはなく、ペダル逆転式のブレーキ。慣れないと大変乗りづらい(慣れるとむしろ便利という説も。たしかに手は開いている。)タイヤが太いのはパンク対策か。
  • お店に入ることは難しい(20クローネ入ってるから&誰かに持って行かれる可能性がある)。自分でチェーンロックを持ち歩いていれば大丈夫かも?
  • たまに壊れている自転車もある。(1台はフロントのカバーが外れていた)
  • (後に判明)自転車置き場は繋留できる数が決まっているため、満席になっていると、20クローネ回収できない。

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自転車に乗って街を走るのは快適。ペダル逆転式ブレーキなので、ちょっと油断すると「ぎゃわ」ってことになりますけれど。 あちこち自転車で走り回りつつ、港近くのカステレットに戻ってきた。

マップによればゲフィオン(≒牛を操る女神)像の噴水の辺りに自転車置き場があるという予定だったんだけれど、この自転車置き場が満席。

ぎゃふーん! 20クローネ回収できないじゃん。みんなカステレットの公園まで来て自転車を降りるわけね。

たまたま通りがかった船のクルーが「たぶん、船の近く(カステレットの北側)にも自転車置き場があった気がしますけれど」と言うので、それを信じて移動する。

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途中、人魚像の近くに同じ無料自転車が2台、乗り捨てられていた。いずれも20クローネ付き。ああ、やはりここで諦めた先人がいるのね。

港のいかさま人魚像と熊の像がある広場まで戻って、自転車置き場発見。繋留キーがあった! 20クローネ回収成功。やったー!

回収したのはいいけれど、この20クローネどうしよう。デンマークはもう寄港しないし、コインは日本円に両替できないから使い切っちゃわないといかんだしょ。

近くのスタンドでアイスクリーム(カミさん)とコーヒー(私)を買って、それでよしとする。

ワンコイン戻るかどうかちょっとスリリングな無料自転車、コペンハーゲンに来たらオススメです。