西暦20XX年、人類とExcelの闘争はなお続いていた。PCの中で、仮想現実の中で。
そして……現実で。
「奴らまたファイル形式を変えやがった! 次の拡張子はxlsxlsxlsxlsxlsxlsxxxxだ」
「約20億×20億セルの拡張されたワークシート……うっかり印刷範囲を設定しようものなら、処理に300時間はかかるシロモノだ」
「この中からたったひとつ、“$"のないセル参照を探すっていうのか?」
Excelと闘う人々、Excelに迎合する人々、Excelを忌避する人々、それぞれの思惑がワークシートの目のように絡み合う。
「息子は死んだ…10年前、Excel狩りに遭ってな」
「Excelが人類をどれだけ幸福にしたっていうんだ!」
「ゲーム電卓の方がマシだったというのかね? このマクロ一つで国家を破滅させることもできるのだよ」
="明らかになる意外なリンク"
「このセル、値じゃない……外部ファイルにリンクされているわ。リンク先アドレスを見る限り、一つはメキシコ、一つはオランダ、一つは…月よ」
「このファイルはただのExcelファイルじゃない。日本のあらゆるExcelファイルが、この一つのファイルを参照している」
「そんな馬鹿な!」
="驚異の関数"
「この関数は?」
「Weatherreport関数。入力された日付と緯度経度から、過去3000年間の天候を返す」
「夏休みの絵日記の味方ってわけか」
「気をつけて。奴らのlifeexpectancy関数は住民番号からその人物の余命を正確に」
="人知を越えたVBAの恐怖"
「ヤバい! VBAだ!」
「ファイルを閉じろ!」
「無理だ。閉じ込められた」
「なんとかしろ! パソコンが熱暴走を始めるぞ!」
「このままじゃ全員焼き殺される!」
="そして迎える総合計、とは?"
「ただの表計算ソフトだろう?」
「……あなたはまだ、このソフトの真の姿を知らない」
『THE EXCEL』
近日公開。
> 誰か『The Excel(ザ・エクセル)』という映画を作ったらどうだろう。近未来の地球で、Excelと死闘を繰り広げる人類の感動の物語。「ジ・エクセル」じゃねーのかというツッコミ歓迎。 ――Twitterでのmogami74発言より。
いや、最近社内でExcelと格闘している人から相談受けること多いもんだから。