そんなことない!

誰かが公の場で発表をする時に、謙遜が入ることはよくある。 ちょっと引け目に感じていることをぽろっと漏らす。 「今年はあまり貢献できなくて」 「みんなに迷惑かけてばっかりで」 こういう時に、どんな反応ができるかで、聞き上手かどうかが決まるのではなかろうか。

そんな時、私はゆっくりうなずいて聞いていることが多い。もちろん「うんうん、そうだね、ホントに貢献してなかったね」って意味でブンブンうなずいているわけではない。もし二人で話しているシーンだったら「ふうん?」「そうなんだ」という軽い相づちを打つ感覚だ。相手の発言を引き受けつつ、同意はしない。緩やかに聞き流す、という方針でやっている。 この方針自体は間違っていないと信じている。 ところが最近、Kが私とまったく違う反応を示すことに気づいた。 話者が謙遜すると、Kは必ず(ホントに必ず)「そんなことないぞ!」と叫ぶ。話者が謙遜するたび、何度でも何度でも、全部打ち返す。「そんなことない!」 私とはまったく違う方針だけれど、「そんなことないぞ!」「そんなことない!」という声に、彼の優しさが感じられて好きだ。 たとえホントにまったく貢献できなかった人がいても、みんなに迷惑かけまくり続けちゃった人がいても、Kは「そんなことないぞ!」「そんなことない!」と叫んでくれるに違いない。 彼は一生懸命に、真摯に、友の気持ちを認め、高く評価し、励ましているのだ。 ハイ!! 友の薫陶戴きましたァァァァァッッッッ。 ※"子どもたちの宙(そら)"Kから、負い目のある友人を励まし続けることの薫陶よろしきを得る。 参考:多苗尚志の友のいる人生纜∞梵天丸:友から薫陶よろしきを得る