リディキュール

カミさん曰く「もがみさんのいいところは、(人を)落として笑いをとろうとしないところ」と。

それは、けっこう気をつけている点の一つ。人を落として笑いを取るのは、結局のところ、当人に細かいキズを与えてしまうことが多い。一回一回は大したことではないが、長く続くと本人が気にしてしまうことがある。それをやるかやらないかで、実は周囲からの評価は大きく異なる。

人を落として笑いをとるのは、容易というか、安易だ。でも、そこを禁じ手として封じることで、ユーモアのセンスというか、テクニックは1ランク上に上がると思う。

フランス映画『リディキュール』は、中世のフランス宮廷の権謀術数の中、話術でのし上がる男の話だ。その中では、当時のフランス人が好む「ウィット」つまり嘲笑(人を落とす笑い)と、イギリス人が好む「ユーモア」つまり暖かい視点での笑いが区別されていた。

作品中で、風で帽子を飛ばされてしまった人に「飛んだのがあなたの首でなくて良かったですね」とユーモアが披露されている。映画を観終わった後で、ウィットの例を友人と一緒に考えた。

「飛んだのがあなたの首だったら良かったのに」と言うのがウィット。

■一年前の日記
SUGAR is sweet (and so you are)

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