居間に置く逸品/アルベール・アンカー展

IMG_0001.jpgBunkamuraにて兄2、兄嫁と合流。これで一家4人プラス、兄嫁と婚約者が揃ったことになる。 6人でBunkamuraの「アンカー展」を見に行く。穏やかな表情をした人物、とりわけ、農村の小さな生活を描いた作品が多い。 恋人さん曰く「自分が買いたい作品はどれか、という観点で見ると、評価しやすい」とのこと。それで一巡してみたところ、恋人さんが欲しい絵と私が欲しい絵はかみ合わない。彼女の思想に色濃く「メメント・モリ」の思想が生きていることを知る。 私が第一に欲しいと思ったのは「治癒師II」という作品。薬を混ぜている薬師、病気でぐったりした幼児とそれを抱く母親、それについてきた少女の4人を描いている。4人の視線はそれぞれに異なる物を見ていて、一つもかみ合っていないのがわかる。薬師は自信があるのか半ば楽しそうな笑みさえ浮かべながら薬を混ぜている。母親はそれを見て不安げだ。幼児はぐったりしてうつろな目をしている。少女は薬師の部屋に並ぶ奇妙な品々に目を奪われている。そのちぐはぐな感じが、そこはかとないユーモラスな感じを醸し出していて面白い。 物販コーナーに「治癒師II」の絵はがきでもないかと思ったが、それはなかった。2番目に気に入った「おじいさんとおばあさんの部屋」という作品はあった。暖炉の近くで老人と二人の子どもが暖まっている。背景にはおばあさんもいる。そんな絵。 奥行きのある絵や細密な静物画など、その画力には舌を巻く。白い紙に木炭だけで、白のレースのカーテンを描くなんてことが、どうやったらできるだろうか。わたしにはまったくわからない。が、アルベール・アンカーは何気なくそれを実現している。しかもそのレースの透明感、光の透ける美しさまで表現しているのだから、まったく驚異的だ。 カフェ・ドゥ・マゴでお茶。