カジノじゃない釜山へ/どうにかなるでしょ

夜、船は港に入り、入国許可待ち。7階のラウンジで紅茶を飲みながら、入国許可が下りるのを待つ。5階のエントランスでは、入国係官が出たり入ったりしながら、何か処理をしている。船のクルーも忙しく動いている。

フロントに頼んでタクシーを呼んでもらっていたので、許可が下りた途端、チーフパーサーが呼びに来てくれた。

パスポートを手渡される。あれ? パスポートって、カジノ以外は必要ないんじゃなかったっけ? 確認すると「カジノに行かれないようでしたらお預かりしておきます」とクルーズディレクター。どうも夜中に勇んで出かけるというと、自動的にカジノだと思われるらしい。このもがみたかふみ、ゲームはハマってもカジノにはまったことはありませんぞ?

「タクシーがもう待っていますから」と大変にせかされた結果、両替を忘れ、船の連絡先を記載した地図を忘れた。んもう、そんなにせかさなくても。手元にあるのは私のクレジットカードとカミさんの財布の日本円だけ。地元旅行会社のユン先生が心配してくれるが「大丈夫、なんとかなりますから」と見切り発車。世界一周してきたお騒がせ夫婦、この程度で動じる我々ではない。

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ナンポドン駅までタクシー。何の勘違いなのか、それとも稼ごうとしたのか、チャガルチ駅の方まで持って行かれそうになったので、運転手に言って止めてもらう。

まず両替出来る場所を求めて中央路を歩くが、見つからず。「ホテルなら……」というカミさんのアイデアに沿って、近くのホテルを探した。ガイドブックに載っていた「アロマホテル」は安宿の風格で、とても両替できるレベルではなさそうだったが、一応電光掲示板に日本語を使っていたので、ダメもとで入って聞いてみた。

受付に座っていたのは大学生くらいに見える若者。英語はほとんどダメだったが、「ジャパニーズエン、ウォン」など身振り手振りで「マニ・チェンジ」ということを理解した。簡単な地図を書いてくれて、30mくらいのところに「ヨギ(両替?)」があると教えてくれた。果たせるかな、両替屋発見。レートは12.6で決して悪くない。無事両替完了、ウォンを手にすることができた。ほら、ね、なんとかなったでしょ、ユン先生。

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街は折しもチャガルチ祭り開催中で、街がにぎやかなのがデフォルトなのか、祭りなのか判別できない。

何か歌ってるヤツがいるのでストリートミュージシャンかと思ったら、路上カラオケ屋台で度肝を抜かれる。太鼓装備のカラオケセットで、道行くおっさんノリノリで歌っている。これも祭りのノリなのかデフォルトなのか判断不能。

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チャガルチ市場自体はしまっていたので、近くを散策。屋台を歩いていると、海産物の保存がぞんざいであることに精神的なダメージを受ける。だって既に店じまいしているのに、魚を台の上に置きっぱなしにしてますよ? 足下を何かの影がよぎったので「猫?」と思ったら、カミさんが「大きなネズミだった」とげんなりした顔。いくつかの店では現地の若者とおぼしき人たちがまだまだ酒を飲みながらバリバリ食ってますけど、衛生面で不安がかなり。

地下鉄ナンポドン駅に降りてスミョン行きに乗ろうと画策する。自動券売機はタッチパネルに日本語ボタンがあり、日本語で表示をしてくれるが、ちょっとでも操作にもたつくと容赦なく初期画面(韓国語)に戻る。何このキャンセルの早さ。券売機は1000ウォンしか受け付けない仕様だったが、両替機があったので1万ウォンを両替。一人およそ二人で2000ウォンくらい、つまり一人約80円で8駅先のスミョンまで乗れるらしい。安っ。

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切符を買って改札に入ろうとした時にやっと、自動改札機が全部しまっていることに気づいた。駅員を呼んで払い戻しを願う。片言の英語で話をしたところによると、終電は23:46に終わっていたそうだ。

「タクシーでなら行ける」と駅員が教えてくれた。「夜間料金でたぶん30000ウォン(約2400円)くらいかな」

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タクシーでわざわざ行くほどの当てもないので、地上に戻る。路上で栗を売っているおっちゃんに遭遇。1箱3000ウォン(240円)。カミさんが値下げ交渉。カミさんにしては弱気で引き下がろうとするので、私も参戦。ユン先生が教えてくれた韓国語「ドーサゲチュセヨ」を活用する。ひとつかみ、おまけしてくれた。

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光復路(コアンブクロ)。お洒落なファッションストリート。ノリは表参道に近いかしら。ブランドのショップがたくさん並んでいる。

映画祭の舞台であるPIFF広場(広場というより通りだが)にさしかかると、屋台がたくさん。トッポギをいただく。船内でオススメされた「ホットクは?」と尋ねると、おばさんに「ホットクは要らないの」と諭される。……いや、要らないんじゃなくて、無いんだろ。

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全般、道が汚い。ゴミを普通に路上に捨てる習慣があるのか、あんまキレイとは言い難い。

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バッティングセンターを発見。日本では最近あんまり見かけないよなぁ。しかも路面店ですよ。プライズゲームに安っぽいデジカメがあったので超狙ったが500ウォン×4失敗。ぬぬぬ。意外と難しいなコレ。

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PIFF広場では普通のゲーセンも発見。とりあえず入る。ガンシューティングなどの大型筐体は注意書きまで日本語のままだったりするのは、どうやら正規品ではなく、日本のゲーセンの型落ち品を中古で買って持ち込んだんじゃないかという気がする。ビデオゲームだと『鉄拳』とかは最新がちゃんと来ていた。メッタメタにしてやんよ、と思ったが、惨敗すると哀しいのでやめた。あとSEGAの『クレージータクシー』がなぜかあちこちにたくさんあって、懐かし。

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ゲーセン内になにやら安っぽい個室がたくさんあると思ったら、これがカラオケボックス。1~2人サイズ。1曲300ウォン(約24円)。日本の楽曲もけっこう入っているようで、カミさんにせがまれて徳永英明など歌う様子を撮られる。

あとゲーセン内に体感椅子シアター発見。椅子がぐらぐら揺れて映像ソフト見るやつ。これも最近日本じゃ見なくなったなぁ。

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普通にあるビデオゲーム以外に、体を使ったフィジカルなゲームが多い。瓦割り、バルーン割、射的など、ナムコワンダーエッグを彷彿とさせる。あとはこれも日本で最近見かけないパンチングボウルとか。なんかゲーセンにもそういう時代の変遷があるのだろうか。これから韓国ゲーセンもメダルゲームに向けて進化していくのかしらん。

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PIFF広場(通りだってば)にはたくさん映画人の手形が埋め込まれており、「ビートたけしを見つけたいなぁ」と思った瞬間にビートたけし発見。ホットクはいくら探してもそれらしいものが見つからない。夜はやらない、とかそういうルールでもあるのか?

街ゆく人たちがみんな語気強いのは、釜山方言らしい。河内弁みたいなもんか。そういえば会社でK氏に「韓国の男女は日本人に比べると、同性と手をつないだりするのが多い」と言っていた。たしかに、女性同士腕を組んで歩いていたり、男性同士肩を組んで歩いていたり、身体的接触に対するタブーが少ない気はする。

国際市場(クッチェシジャン)。雑貨市場、つまり上野のアメ横みたいな雰囲気だが、さすがにこの時間、お店は全部しまっている。暗いし散らかしっぱなしで、さすがに足を踏み入れる気にはならない。

とはいえ、飲食店は夜でも開いている店が多い。治安がいいみたい。人も多い。渋谷のセンター街っぽい雰囲気かな。屋台や店など、日本語はかたことで使えるのもいるが、会話は無理。かんばんにはカタカナ、日本語が多い。日本食っぽいもの、たとえば串焼きの店などもちょくちょく見かける。

26時まで徘徊し、満足してタクシーで帰船。日本語も英語もわからない運転手だったが、「SHIP」はわかったようで、後は地図を見せてなんとか「CruiseTerminal」という単語を引き出すことに成功した。

ほら、ね、なんとか帰ってきましたよ、ユン先生。

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■一年前の日記
2008年10月18日
棚の本質: Solitaire's DiaryBBS