トロムソ:不在の都市

24日に北極圏に突入した。小島の上に北極圏を示すモニュメントがあって、それの真横を通過した瞬間に「北極圏だー」とはしゃいで写真を撮った。よく考えてみると、船が北極圏に対して直角に進入したという証拠はない。斜めに進入したんだとすると、モニュメントが船の真横にあっても北極圏にいるとは限らない。いったいあのモニュメントに対して、北極圏の線はどのように引かれていたのであろうか。ちょっと気になる感じ。
20080525_150918.jpgさて船は「北極圏のパリ」とも呼ばれるトロムソへ。この日はあいにく日曜日であり、どうにもこうにも盛り上がらない。何せ、町のほとんどの施設は日曜日お休みなのだ。町を歩いても誰にも出会わない。そのうえ、我々の上陸時間も半日と少ない。コースを考えるのに苦労した。
20080525_124700.jpgまず探検家アムンゼンの像を見た後、近くのツーリストインフォメーションへ。ガイドブックによれば、有料の「北極圏証明書」をツーリストインフォメーションで発行してくれるという。いさんで?ツーリストインフォメーションへ行く。お姉さんに頼むと、証明書の用紙(表彰状みたいな感じだ)を持ってきて、手書きで私の名前を書いてくれる。つづりを間違えられるのではないかとハラハラ。書き終わって、75ノルウェークローネ(およそ2000円)を支払うと、無事卒業……じゃなくて北極圏することができた。ツーリストインフォメーションを出てから証明書を封筒から取り出し、読み直していたら、中に何か入っていることに気づいた。トロムソピンバッジだった。小さく、趣味がいい。「Tromso」の文字が入っている。あの証明書に75クローネは高いと思ったが、このピンバッジが付いてくるのなら、許せると思った。北極圏限定品だぜ(たぶん)。 もう一つ、この日にオープンしていたのが「ポーラリア」という施設。北極圏に住むさまざまな生物に関する展示をしている博物館。日本製の5面シアターによる映像。北極圏の動物たちの映像で、解説も何もないイメージ映像みたいな感じだったが、北極圏のさまざまなシーンが見られて十分に面白かった。
20080525_132359.jpgほか、展示品は大ざっぱに言えば小さな水族館だが、面白い。でっかいくじらのしっぽがあったりとか。あざらしが2頭いる水槽の下の通路を歩くことができ、あざらしの泳ぐ姿を間近に見ることができる。また、職員が水槽の魚に餌をやっているところに遭遇。カミさんはお願いして、餌をやらせてもらっていた。大型の魚が小魚の切り身をばっくり食うので、けっこう怖い。時にはものすごい水をはねて、館員を水浸しにするシーンも。 自分でハンドルを揺り動かして波を起こす水槽がある。ハンドルが非常に重たく、波を起こすのに一苦労。で、波を起こして何がどうなるのかよくわからん。波打ち際の生態について説明してあるみたいだが。 子供用のシューター(滑り台)があって、子供たちが喜んでやっているのを見てカミさんが滑りたがる。地元の子どもたちとその親の白い目をよそに滑る。シューターの天井にキレイな絵が描いてあったらしい。私にも「滑っておいでよ」とオススメらしいが、キミは地元お母さんのあきれ顔を見てないからそんなことが言えるんだよ。
20080525_151603.jpgポーラリアを後にし、歩いて町を散策する。何もない。コンビニとかが開いているくらい。あとわずかにオープンしている施設が北極博物館。ただし、中身にはあまり興味が持てそうになかったので、博物館前に据え付けてあった捕鯨砲4台でポーズをとって撮影。ミュージアムショップだけのぞいてみた。アムンゼンの健康食品があった。アムンゼンもこれがあったらもっと楽に北極圏に行けた、とかそういうことだろうか。
20080525_152900.jpg大きなトロムソ橋を歩いて渡る。その向こうには北極教会が見える。徒歩で渡るとかなり大変と聞いていたのだが、地元の人はけっこう歩いて渡っているようだ。気のよさそうな老夫婦に頼んで、写真を撮ってもらう。最後まで渡ると時間がなさそうだったので、途中で折り返す。まぁ満足。 港まで戻ってきた時に、カミさんが日本人ガイドさん(オスロ在住旅行社社員K氏)を捕まえて質問した。この辺りは木造建築が多いように見えるが、あれは本当に木造なのか。だとしたら極北の地で寒くはないのか。 K氏は親切に教えてくれた。彼によるとノルウェーでは木造建築の家が多いのだそうだ。30cmほどの断熱材を壁に挟み込んで保温しているので、中はけっこう暖かいらしい。ノルウェーでは南北どこへ行ってもあまり家の造りは変わらない。(デンマークの)コペンハーゲン以南では石造りの家が多くなる、とのこと。 こんな細かい質問にもすらすらと答えられるガイドさんにちょっと感心した。よく勉強している。
20080525_152449.jpgマンホールにトナカイが書いてあってかわいい、という話を船でしたら、おばさまがたが「マンホールはどこ行っても面白いわよねー」「寄港地降りるたんびにマンホール写真に撮ってんの」という話になり、さすが旅慣れた人は違うなぁ、と思った次第。