神の一文

ベルギービールのお店にゴー、せっかくだから。 S嬢とヨドバシカメラを離れ、ベルギービールの飲めるパブ「FRIGO」で2杯ほどビールを飲んだ後、歩き回って適当に見つけた居酒屋「げんき屋」でさらにもうちょっと。うーん、新宿のお店をもう少し開拓しておかないと、いざというときに、人と飲みに行けないなー。特に西口。 ◆ベルギービール専門店 新宿フリゴ

S嬢の仕事の話や、起業の話、家族の話など。いろいろ話をする。しばらくぶりに近況が聞けて良かった。 S嬢は文章を書くのがホントに苦手だという。はて、なぜだろう。

そういえば先日、会社の同僚も困った顔で私のところに相談に来た。「実は雑誌の原稿が残っていて……あと一週間しかないのですが、1600字もあるんです」 えーと、そのくらいの分量は、毎晩、日記(本稿、MogaのMonologue)で書いてますが、何か?

私自身はもう遠い昔においてきてしまった「文章を書くのが苦手」という感覚だけに、これは想像するだに難しい。なぜ? 何が? どうして、書けないのか?

歩くのを忘れてしまった人に「ねぇ、どうやって歩くんだっけ?」と言われているようなキモチ。そりゃつまり、そんなの、普通に……ほら、ええと、歩くのさ。グスタフ・マイリンク「ひきがえるの呪い」では意識した途端に歩くことができなくなる百足の話があるらしいが、普段無意識でやっていることを意識的に説明しようとするのは難しい。

たしかに、文章を書くということは、百足が歩くのと同じくらい、複雑なプロセスを持っている。たぶん慣れていない人は、そのあまりのプロセスの多様性に戸惑ってしまうのだろうか。一つの事象を伝える文章は、何十通り、何百通りもありうる。そのどれがもっとも適切でふさわしいのか。囲碁で言う「神の一手」を探すプロセスなわけで、あまりに選択肢がありすぎる。

古典的名著『日本語の作文技術』。『実戦・日本語の作文技術』を中学生向けにしたもの。前にざっと一読したけれど、かなり選択肢を細かく解説している本だと思う。