満月の夜

今夜は満月。暗い海を月が照らしている。普段、夜は水平線は見えない のだが、今夜は月が明るく、海と空の境界線が見える。船首に立つと、 左前方から月が照らし、海の上に月光の反射がきらめいている。遠く海 上に何か黒い影が見える。まるで近くに陸地があるような感じだが、陸 地があるはずはない。しばらく見ているとその影が海面のきらめきを隠 して近づいてくるのがわかった。雲だ。雲の陰が海の上にくっきりと落 ちている。しばらく眺めていると、雲のある場所とない場所で海の明る さが違うことが見てとれる。雲の下にいてさえ、互いの顔がくっきり見 えるほどの明るさ。 広大な海の真ん中にあって、月と雲の影が海を彩っているところを想像 する。ヒトがいてもいなくても続く営み。広大な海を渡っていく船。か つて古の船人たちが見た月、見た夜、見た海と同じ物を今、自分も見て いる。夜の川のように、遠くから近くへ、水がさざめいて流れる。船は 海の上を進んでいく。太陽の光を反射している月、温度のない光。青白 く照らされた海。 ■業務連絡 カメラが3カ所にある説によれば、その場所は、ガトゥンロック、ミラ フロレスロック、アメリカス橋だそうです。中でもミラフロレスロック が船とカメラの位置が近いとのこと。