ボストン:アンクル・サムの故郷

アメリカという国は旅行者に厳しい。例のテロ対策というのもあるけれど、衛生面でも激しい。ボストンまでの期間中、船内のトイレにはベビーベッドが設置された。船内に赤ん坊は一人もいないのに? これもアメリカの公衆衛生局の指示で「一定人数以上が利用する公共のトイレには、ベビーベッドを設置すべし」という基準に合わせるためだという。……赤ん坊は一人もいないのに?

プールなども日本人にはきつすぎる塩素濃度が採用され、最後のハワイを出るまで続く。 旅行者に厳しい国、アメリカへ到着。感じの悪い、旅行者を小馬鹿にしたような顔した検査官による入国審査も無事くぐり抜けて、上陸。ボストンは一泊の寄港地。だから今日と明日、2日間かけて街を見ることができる。 上陸地点からシャトルバスに乗り、クインシーマーケットへ。そこからほど近いガバメントセンター駅まで歩く。 切符の買い方がわからず、駅員に訊く。ふとったおっさんは「切符が欲しいのか? よしきた」とばかりにコンコンスココンコン、と軽やかに自動販売機のタッチパネルを叩き、瞬く間に二人分4ドルの切符をたたき出した。まずは見事な芸と言えよう。

ボストン美術館へ。ここには印象派の部屋があり、日本人に人気。 20080608_114626.jpg ゴーギャンの「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」を見る。この絵(というかそのタイトル)が妙に好きで、気になる絵なので、この美術館では一番楽しみにしていた。満喫できて嬉しい。なんとこの美術館は写真も撮影可(フラッシュ不可)なので、デジカメで館内の気になる作品を撮影できる。すごい。

他に面白かったというか、興味をひかれたのはミイラと楽器展示。ミイラは発掘された実際の発掘物(もちろんご本尊も含む)を展示している。実際の死体が中に入っているはず、と考えると、妙に不気味だ。

楽器の部屋には各国の変な楽器が山盛り。図解で弾き方解説もされていて、面白い。リュートにさらにベース用の弦を増やしたもの。指板の上ではなく、その脇に張り出した形で弦がある。これらのベース弦は常に開放弦で弾くということだろうか。 ボタン式のリュート。弦をつまびく代わりにボタンを押すと、サウンドホールからハンマーが出てきて弦を叩く。右手が楽になるということか。あんまりいい音しそうにないけれど。

ガラスホイール式の楽器。大きさの違うガラスホイールが円筒形に並んでいて、回転するガラスに指を当てて音をたてる。ベートーベンなどがこの楽器に使う小編を残しているという。爪を立てたら嫌な音がしそう。 『第三の男』で有名なツィターも見られて、満足ー。

これまた非常に楽しみにしていたのが、MIT Museum。MITが誇る先端技術(およびそれ関連のジョーク)を展示している、素晴らしいミュージアム。校舎の一部を改装しているっぽい感じで、裏は校舎につながっている。これ裏口から入ったらフツーにキセル入場できるのでは。

箱にしきつめられた砂の情報インターフェイスが面白かった。箱の中の砂の高低を検出し、それをモニターに反映しているらしい。箱の中の砂をいじると、モニターもそれに合わせて変化する。

2階にはロボットの展示があり、ロボットの発展の歴史を実物の展示と共に見ることができる。また、前衛芸術的な「動く展示物」もあって、延々と湧き出してくるローラーチェーン、とか「考える椅子」とか、意味はわからないけれど面白いものがたくさんあった。

[caption id=“” align=“alignnone” width=“480”]20080608_152004.jpg 「Thinking chair」[/caption]

ショップもユーモアが効いていてイイ。アバカス(そろばん)の指環。ロボットの指環。ローラーチェーンの栓抜き。水準器(平行かどうかがわかる器具)の指環。一番笑ったのが、Tシャツに書かれていた以下の文句。 「世の中には10種類の人間がいる。二進法を理解する人間と、そうでない人間だ」

地下鉄でハーバードへ。ハーバード大もちょっとのぞいてみたかった。駅前の売店の「Harvard Square」の表示が「Hogwarts Square」に書き換えられていて笑う。誰かのいたずらだろうか。それとも?
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ハーバードのCOOPでちょっとした買い物をして、レジで会計をした。クレジットカードのサインをすると、レジのおじさんが「漢字は少し勉強したんだ。えーとこれは、シンボ、でいいかね」と読み上げるのに驚く。日本人女性とご結婚されたのだそうだ。以前は小田原に住んでいたとのこと。

ハーバード内は草地が多くて気持ちいい。カミさんに「もがみさんの大学にはこういう芝生がある?」と聞かれ、安田講堂の前に少しあるだけだと答える。駒場にも芝生らしい芝生はないしなぁ。

学内にあるというハーバード氏の像を発見。その靴に手を触ると頭が良くなる、という噂に準じて、靴に手を触れた状態で記念撮影。 20080608_190218.jpg

ハーバード周辺を少し散策した後、タクシーでフェンウェイパークへ。ところが、お店は閉まっている。がっかり。DICE-KのTシャツが買えると思ったのに。テッド・ウィリアムズの像などを見て満足とする。街灯に日本語で「DICE-K歓迎」などと張り紙がしてあるのにびっくりした。そんなに歓迎されているのか松坂。

二日目。カミさんが「フリーダムトレイルを見たい」というので、人に尋ねつつ、道を探す。フリーダムトレイルというのはボストンの徒歩観光ルートの一つで、歩道に埋め込まれた赤いレンガをたどっていくだけで、アメリカ建国時代の史跡を巡ることができるという。我々が「手近のフリーダムトレイルはどこですか?」と尋ねたビジネスウーマンなお姉さんは「たしかにどっかで見たはずなんだけど、どっちだったかなー。思い出せないなー」とうなりながらも「たしかあっちにあったと思う」と教えてくれた。礼を言って歩く。ビンゴ。赤いレンガの上で記念撮影。

通りすがりに、ボストン公共図書館に入ってみた。かなり立派な建物で、特に中庭が非常に良い感じ。カミさんが「ライブラリーショップがないか訊け」というので、渋々館員を捕まえて訊く。無いと言われると思ったのだが、あにはからんや、館員の返事は謎めいたものだった。「別棟に渡って、3階のBusiness Officeへ行け」と。

はて、ショップの場所を訊いたのに、なぜBusiness Officeなのか。買い付けと間違われたのか? 不思議に思いながら進む。3階でもう一度「ショップの場所は?」と尋ねると「STAFF ONLY」の表示の先へ進むように言われる。明らかに事務室。そこにいた人に尋ねると、ああ、ここに商品があるからご覧なさい、と言われる。うわ、なんでこんなトコに商品あるんだ。ここまでたどり着ける旅行者など、そうそういないに違いない。レアだ。

商品も割といい出来。特にトートバッグが安くて頑丈でいい。本を入れるために、かなり頑丈に作られているようだ。カミさんが購入。

軍の払い下げの水陸両用車を使った観光ツアーは、あちこちの港町で見かける。概ねどこでも「ダック・ツアー」と呼ばれているようだ。カミさんは珍しい乗り物と見れば乗りたがるので、ここボストンで乗ってみることにした。予約制で、12時の回を予約。ところが買い物をしていて時間ギリギリになってしまった。最後だったせいで二人隣同士の席に座ることができず、離れて座るハメになってしまった。ちぇっ。 20080609_110230.jpg

べらんめえ調の英語ガイドは、たぶん理解できたら面白かったのだろうが、早口だし、理解できず。アジア系の客が多かったので、他の客の反応もあまりよくなかった。ガイド氏もさぞかしやりにくかっただろう。陸から水に突入する際に「スパイ大作戦」のテーマがかかるところでは客が沸いた。みんな英語はわからなくても、こういうのはわかるらしい。水陸とりまぜてボストン市内の名所をぐるりとめぐる。

ガイドブックによればアヒルの鳴き真似をするシーンが3回ある、という話だったのだが、結局それはなかった。なぜかはわからない。英語が分かる客が少なかったせいで、ガイド氏が手加減したのだろうか。

ダックツアーが終わって空腹ここに極まれり。Shaw'sというスーパーマーケットで総菜とスープを購入。プラスチックのパックに自分で好きに詰めるやつ。ドーナツを12個も購入。それらを公共図書館の中庭に持ち込んで食べる。机と椅子もあるし、ゆったりしていて快適。館員につまみ出されるのではないかとも思ったが、他の人たちもテーブルに腰掛け、なにがしか食べている。中庭での食事は容認されているようだ。なんてユルいんだ。ここは弁当を食べて休憩をとるのに、非常にオススメ。穴場です。 20080609_130044.jpg

ドーナツ12個はさすがに二人では食べきれず。後で公園で捨てる羽目に。

地下鉄で再びクインシーマーケットへ。買い物をしながらパブリック・ガーデンへ向かう。

カミさんはパブリック・ガーデンの池でボートに乗りたがったが、「乗員の健康を守るため」15時で終了とのこと。私もちょっと熱気でくらくらした。なにせこの日の気温はかなり高かったので。

それからパブリック・ガーデンの脇にある、「Cheers」に行ってみた。ガイドブックによれば、ここはドラマ『Cheers』『アリー・マイ・ラブ』の撮影に使われたことがある、とのこと。

店員の背後の壁に貼られている「半分に折れないものは本当のチップとはいえない」という張り紙が粋だ。 帰りしな、店員に「アリー・マクヴィール(アリー・マイ・ラブ主人公)の写真とかないか」と尋ねると「ない」とのこと。そもそも『アリー・マイ・ラブ』で使われたこと自体ない、という。えー。ガイドブックの誤報か?