負の空中庭園

賃貸物件の内見を観に行く。落雷が落ちた。 保谷のが大変良い物件。気の良い大家さんが内装に大変気を遣っており、綺麗で比較的広い。駅から7分くらい。買い物できるスーパーもそこそこの場所にある。これは第一候補に。 三田線の奥地、西台にあるJKK。即ち都の住宅公団の部屋。駅の前から長い階段を上がると、そこに駅を見下ろす巨大団地がある。遙か上までそびえ立つ、黒いコンクリートモノリス。広場はそれなりの広さがあるが、今日が曇っているせいもあって寒々しい。建物の中は開口部と通路が入り組んでおり、そこに上から下まで、ぎっしりと隙間なく蜂の巣のように並んだドアが、すべて同じ頑なな表情で硬く閉め切られている。 うわぁ。高度経済成長的っていうか『未来世紀ブラジル』的っていうか。びっしり密集した部屋の数にかなり歪んだエネルギーを感じる。ここで育つ子どもは、何か恐ろしい感受性に恵まれるに違いない。 まったく話の通じない管理人のお婆さん(耳が遠いのではなく、話を聞いてない)は、こちらを電話の工事人かなにかと勘違いしている。話聞けコラ。彼女からなんとか鍵を借り受け、内見する。 部屋は値段の割には広く、駅が近いことも考えれば好条件であると言える。が、集合住宅としての造りが古いので、明るさに配慮しておらず、暗い。おそらく暖房効率もあまり高くはないであろう。おそらく改装されているのであろうが、部屋の中央に柱が残っていて、使い勝手は良くはない。というわけでリリース。 年収があまり高い人は入居できず、入居審査もないらしいので、私のような風来坊にとっては大変助かる物件なんだけれどね。かくてもあられけるよ、と覚えはべりしか。 帰りも管理人のおばあさんに遭遇。しきりとお茶を勧める。自販機で買ったろう、と。いや、おかまいなく(汗)