ミコノス島:白い街(青い影)

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ミコノス島の中心地、ミコノスタウン。この小さな小さな観光の町は、アテネの旧市街と同じか、それよりさらに狭い路地でできている。裏原宿くらいの幅の普通の道から、肩幅二つ分には足りないくらい狭いところまで。区画整理がされていないので、直角がない。町が斜面に作られているので、階段が非常に多く、まるで迷宮のようだ。庭や垣根もない小さな家が寄せ合っているので、どこからが私有地で、どこからが公道なのか、はっきりしない。もしかしたら、全部私道だったりするのではないか。ふと気づくと、個人宅の中庭のような場所に入り込んでしまっていることさえある。

ミコノスタウンがアテネと大きく違っているのは、その白さだ。この町はどこもかしこも白い。家の壁や道をペンキで白く塗るのが伝統らしい。「白銀の世界」という言葉があるが、そんな感じだ。まるで町中に雪が積もったみたいに白いのだ。それでいて、太陽はまぶしく、さんさんと輝いていて暑い。永遠に白銀の町、それがこのミコノスタウンだ。あまりにまばゆくて、眼病の疾病率が高いのではないかと心配になるくらいだ。

白い迷宮を、カミさんと二人、散策する。特に何か見るべき物があるわけでもない。強いて挙げれば、今はもう使われていない風車が何基かあり、撮影スポットになっている。それ以外はただの散歩だ。ガイドブックを見ると「迷ってみるのもいいだろう」なんて、無責任なことが書いてある。たしかに小さな町なので、迷って出られなくなるという心配はない。治安も心配ない。しかし少しは考えて歩かないと、毎回同じ場所に戻ってしまい、同じところをぐるぐる見て回る羽目になりかねない。カミさんの強い要望により、靴屋でウォーキングシューズを買う。足のサイズはたぶん11インチくらい、と店のお姉さんに伝えると、サイズ44くらいだろうという。あれこれ試着した結果、サイズ41と1/2のスリッポン(靴ひものない)の革靴を購入。70ユーロくらい。カミさん曰く「ホッとした。今もがみさんがはいてる靴、ボロボロなんだもの」と。まだあと5年ははけるのに。

カミさんがビーチに入りたいと言うので、渋々、水着を用意して行ったが、膝までつかると、氷水のよう。足がそれ以上先に進まない。地元の?老人は気持ちよさげに泳いで、「来い来い」と手招きしている。「Too Cold!」と叫び返すと、肩をすくめた。

水に入れなかったので、浜辺でごろごろ。全長2cmくらいの小魚が水辺にはうろうろしている。カミさんの命により、小魚を獲った。パンくずにむらがっていた小魚を、アラスカ熊のフォームで一撃し、砂浜に一匹、打ち上げることに成功。カミさん大喜び。これならアラスカの大自然に還っても、なんとか生きていけそうだ。やれやれ。