もう、少々過ぎた話になるが、ある宴席で、気に障る場面に遭遇した。状況を説明すると以下のようである。 宴席(合コンではない)にはけっこうな人数が来ており、人の出入りも多かったが、その中でも比較的、新顔と思われる女性が、とある男性と、愛想よく会話をしていた。仮にこの女性をA、男性をBとする。この会話はいたって社交的なレベルのものであったが、C氏という男性が席を外して不在になった折、女性Aがこう切り出した。 「ところで、Cさんって、カノジョいるんですか?」 B氏は、さぁ、どうかな、といった曖昧な返答をしているが、Aさんは「どうなんですか、ねぇねぇ、ぶっちゃけてくださいよ」とたいそう回答にご執心である。状況としては、非常に単純で、AさんはC氏に関心があり、その予備調査として、C氏に恋人がいるかどうかをB氏に尋ねているのである。(この後、Aさんがどうなったか、どこで何をしているのか、私にはまったく情報がない。その後一度も会っていないし、次に会ったとしても同定できない程度の記憶しかない)この一連の出来事を見ての私の感想は、非常にネガティブなものであり「この女性(Aさん)とは友達になりたくないな」であった。 ここまでが状況であるが、私の中で疑問として残ったのは、なぜ、この女性と友達になりたくないか、である。なぜ私は非常に否定的な裁定を下したのだろう、というのが自分自身わからなかった。ロマンチストとして、そういう情報収集が嫌だったのか、とも思ったのだが、情報収集は誰でもやることだ。新顔がいきなりC氏を口説こうと狙っているのが嫌だったのか、とも思ったのだが、それも別に責める筋合いではない。C氏がモテるのが悔しいのか、とも思ったが、単純にそれだけとも思われない(たぶん……)。 で、あれこれ考えてやっとわかった。このAさんが、B氏と打算で話をしているのが嫌になった原因だった。B氏は非常に純粋に会話を楽しんで(かつ、非常なサービス精神を発揮してAさんの相手をして)いたにも関わらず、Aさんは非常に打算的に(としか思われない理由を抱えて)会話をしていたのだ。「Cさんは彼女いるんですか?」という質問をした時、Aさんにとって、B氏はどうでも良かった。目前の会話の相手を無視するという、人間がやっちゃいけないことをやったのである。AさんにとってB氏は「情報源」でしかなかったのだ。この場合、Aさんの愛想が良ければ良いほど、Aさんの評価はぐんぐん下がる。それがまた、本当に愛想が良かったのだ。反吐が出るくらい。 ということに気づいて、今日はすっきりしたので、ここにメモっておく。