やる気出し過ぎ船頭ダイバー

朝食。 鬼怒川ライン下り。「ライン下り」という呼称はもともと「木曽川流域がライン川に似ている」というところから、木曽川下りに「ライン下り」という名前をつけたものらしい。lineではないのだ。 20名ほどのお客さんが同道。我々の会社のメンバーが10人ほど、残りのメンバーは知らないお客さんだ。 若干17歳という、流域随一の若い船頭さんがおもしろ可笑しくアナウンスをしてくれる。「お客さんがやる気ないと船頭もやる気でないんで、よろしくお願いします」とのことで、スリーエス勢は大盛り上がり。 幸い、雨も小やみになり、即席屋根をとりのけて青天井で川の風景を楽しむことができる。船頭のあんちゃんが「あそこの縦に大きな岩が『縦岩』って呼ばれてます。鬼怒川にあれ以外名所ないんで、写真ちゃんと撮っといてください」と言ったそのすぐ後。ボートが浅瀬に突っ込み、油断していた船頭氏はあはれ、川面に真っ逆さま。あれよあれよというまに濁流に飲まれて後方へ流れ去る。 唖然とする会衆一同。もっとも後方の舵取りの船頭は残っているので、不安はない。むしろこれからどうなるのか、わくわく。みんなで冗談を言い合う。 「やる気あるって言ったのになぁ。職務放棄か」 「誰か助けてやればよかったのに」「いや、船縁から手や顔を出さないように言われてたし……」 何艘か後続の船を見送った。そしてついに、別の船に乗って、件のあんちゃんが恥ずかしそうに戻ってきた。全身ずぶぬれ。 「ナイスダイブナイスダイブ」とはやし立てる。 あんちゃんは照れながら「落ちたのは船頭やってて初めてです」とのこと。まぁ怪我がなくて何より。 「以前デカプリオが来たことがあって、今日はたまたまみなさんが乗ってるこの船がそのデカプリオ乗せた船なんです。俺たちの間では『タイタニック』って呼ばれてます」など、客を笑わせるトーク満載の、いい船頭だった。 川からあがると、ライン下り会社の偉い人が迎えに来ていて船頭くんに低い声で「大丈夫か」と声をかけた。船頭くんも「大丈夫です」と答える。それからお客さんに「船の到着が遅れてすみません」と手ぬぐいを配った。 その後、バスで帰着。 バスの中ではビンゴ大会が行われ、なんか「今日は当たりそうな気がする」と思っていたら、見事5位入賞。日本酒とキレイな青いグラスのセットを頂戴しました。 無事終了。まぁ帰り雨に降られたけど……。