カミさんがWritingRoomから借りてきた、町田康『浄土』をぱらっと読む。とりあえず2編だけ。
「ギャオスの話」
ギャオスというのは、なんとも懐かしいというか……いや別にリアルタイムでギャオスを見ていたわけではないのだが。
ジャクスタポジション(併置)と呼ばれるような構成で、複数の人物、固有名詞を散りばめ、叙事詩というか記録風の感じを出しているのが面白い。淡々とした語り口は、どこか往年の怪獣映画のような雰囲気もある。
ここで語られている「ギャオス」とはいったい何なのか。「カメラを向けられるとポーズをとらずにはいられない生物」とは、ヒトそのものではないのか。ギャオスある限り、我々は幸福になれないのかもしれない。
「犬死」
読んでいて一番不可解というか、気になった点は「私」に起きた「致命的に面白くないこと」とは何だったのか。それについては(意図的に)記述がない。
他にも不可解な、説明のない点が多い。なぜ彼は黒服の男を乱打せねばならなかったのか。なぜマンションの場所は間違っていたのか。なぜ「ジョアンナ先生」の性別が食い違っていたのか。「膝が逆の女子高生」とは何だったのか。
物語の中では主人公は死んでいないにも関わらず、「犬死」というタイトル。全体に都市伝説のような雰囲気を持ち、どことなく不気味な悪寒、主人公の「犬死」を予感させる。そこがこの作品の妙味かな、という気がする。
