アレクサンドリア: 太陽の街

☆☆☆☆DSC06842 ドバイ出港の時からエジプト現地旅行社の社員が若干名乗り込んで来て、いろいろな予備知識を授けてくれた。アラビア語の挨拶は例の「アッサラーム・アレイクム」。これに対する返礼は「アレイコ・マッサラーマ」。船内で旅行社の人に会うたびにこれで話しかけていたら、喜んでパピルスのしおりをくれた(現地で400円で売られていた)。

アレクサンドリアで現地の発音を聞いてさらに磨きをかけた。この挨拶だけは、発音まで完コピ。これが現地人に大ウケで、「どこでアラビア語を習った?」と訊かれること2度。ツアーバスの運転手など、大喜びで「いいか、“カミさん”はハビービと言うんだぞ」とアラビア語の講義を開始するほど。アラブ圏へ行くなら、「アッサラーム・アレイクム」と「アレーコマッサラーマ」そして「シュクラム(ありがとう)」だけでも覚えていくことをオススメする。覚える観光客が少ないのか、アラブ人の反応は良い。朝の挨拶「サヴァホエルヘイル」を加えればパーペキ。ってほどでもないか。コツは相手と目が合った瞬間に「ッサラーマレーコム」と早口でぼそっとつぶやくこと。区切ったり、イントネーションを付けたりしない。

アレクサンドリアでは、オプショナルツアー「3大ピラミッドとスフィンクス」に参加。エジプトまで来たからにはピラミッドを見たい。といってもアレクサンドリアからギザまではかなり距離があるし、自分だけで行くのは大変だ。オプショナルツアーで移動することにした。

エジプトは、思ったよりも緑が多かった。大変乾燥しているのに、緑は多い。高速道路(「サハラ・ロード」即ち「砂漠道」)の脇にも、青々とした畑がずっと先まで広がっている。畑にスプリンクラーで大規模な灌水を施しているのを見かけたので、あの水はどこから来るのか、ガイドのミーナに訊いたところ、ほとんどがナイルからとっているとのこと。まこと、エジプトはナイルの賜物ということか。

ピラミッドは、なんと言っても巨大だ! あまりに巨大で、しかも単純な幾何学図形をしているので、遠近感がつかめない。アレは写真で見ても、ちっとも理解できないシロモノだということがわかった。内部にも入った。内部の通路はうってかわって狭く、蒸し暑く、息苦しい。狭い下り坂の通路を、しゃがんだ状態で、奥底しれぬ先に入っていく。時々蛍光灯の薄い灯りがついているのが唯一の光だ。完全に真っ暗な場所もある。この先に行き止まりでもあったらどうしよう、と思うと言いしれぬ不安にかられる。トラウマになりそうだ。ところどころ立ち上がれる場所があると、ほっとする。2~3分も通路を進むと、石室に出る。ここには何もない。空っぽの石の棺のようなものがあるだけ。かつてここに王が眠っていたのだろうか。今では、エジプト人の老人が一人立って、観光客が流れを止めないよう、盛んに声を上げて追い立てている。「もう見ただろ。さあ出た出た」

ギザはムンバイに似ている。衛生状態も、経済状態も、物売りの多さも似ている。ただ、こちらの方が気候も人もカラッとしている。ムンバイではあまり顔色が読めず、何か不気味な印象があった(緊張していたせいかもしれない)。エジプトでは、誰も彼も妙に親しげで笑顔だ。ショップの店員、レストランのウェイター、博物館の係員、道行く人々。観光地の物売りでさえ、ちょっとしたユーモアを備えている。

☆☆☆★DSC06621

ただ一度、詐欺にカモられかけた。握手をしたらビーズを握らされ、「ギフトだ」と言う。続けて頭に載せるフードのようなものまでかぶせられ、金を払えと言う。ツアコンの人たちが助けに来てくれて助かった。カモられやすい性格というのは、外国へ言ってもすぐバレてしまうようだ。がっかり。