新婚旅行は始まっている

うちのカミさんの実家にお邪魔してもう5泊目になる。まだ慣れないところは多々ある。元々私は場になじむのに時間がかかるタイプなのだ。その代わり、時間をかければどんな場所にもなじむと思うけれど。 この家は私がもといた家とはまったく異なるルールに支配されており、それが把握できるまではやや心許ない。たとえば、今日はお風呂の灯りを付けるまで、3分くらい周囲を探し回ってしまった。以前、カミさんがお風呂を案内してくれた時には見落としていた要素だ。脱衣所の入り口に近いところから捜索を始め、想定されるスイッチの在処を一つ一つ丹念に確認して、やっと発見した。それは、壁にかけられたバスタオルの陰に隠れていた。バスタオルを5cmずらせば見つかる場所、家人であれば、おそらく手探りで2秒でたどり着くはずの場所だが、私にとってはそこに至るまでにひどく時間がかかる。 また、この家では乾いたタオルが常に棚に補充され、使い放題になっている。これは我が家ではあまり意識されなかった習慣だ。やはり女の子の多い家庭では、タオルの消費も多いのだろうか。その一方で、この家では浴室にタオルを持ち込む習慣がないらしい。禁止されているのではない。そういう発想そのものがないようだ。タオルなしでお風呂に入る方式が当地では定着している。 風呂に入ってさまざまなしきたりに思いをはせる。ふと、この感覚は外国で暮らしているのにそっくりだと気づいた。 もう、新婚旅行は始まっている。