カミさんのバースデーだというのに、相変わらずカミさんは体調不良。どういう経緯だったか忘れたが、たぶん私が家事をサボるため、ドミノ・ピザをとることに決めた。カミさんは「ピザにハートを描いてもらって」とか無理を言っている。
パンフレットを眺めていて、ふと以前、友人が教えてくれたネット注文のことを思い出した。なんでもムービーコンテンツがついていて、まるで実際に注文したピザが焼かれている様子を見ているような……とかなんとか。ちょいとネット注文でやってみるか。
カミさんはピザはなんでもいい、と言うので、好都合。ネットで注文。誕生日のチェックマークを入れると、サービスのトートバッグをくれるというので、それにチェック。さらにトッピングにマヨネーズを指定(カミさんはマヨネーズ好きなのだ)。そして備考欄にカミさんにナイショでこっそり「できれば、マヨネーズでLOVEとハートマークを描いて下さい」という指定を入れた。電話口では、こうはいかない。声でカミさんにバレてしまう。黙って注文できるネット注文だからこそサプライズにできるのだ。さて、どうなるか。
ネット注文直後に誘導されるサイトで「Pizza Tracking Show」が始まった。コミカルな登場人物たちが、わいわい言いながらピザを組み立てていく。
Flashムービーなんだけど、実際の注文情報、配達状況と連動してムービーが進行する。「注文が入るシーン」では、注文した人の名前や、注文したピザの名前がムービーに合成され、あたかもホントに注文したピザの映像をリアルタイムで見ているような気分にさせてくれる。
時々はGoogleマップが表示され、ピザ店舗と注文した人の家を両方マーキング。これもまた、ホントにあなたの注文を処理しているところですよ、という気にさせてくれる演出だ。(演出ではあるが、実際にピザ店舗では住所から私の家の場所を特定しているわけだから、ある意味リアルな状況を見える化しただけとも言える)。
実際にお店でトッピングをしている間はトッピングのムービーが、焼いている間は焼いているムービーが流れるようになっているらしい。ということはつまり、販売店ではすべてのピザについて、今どの工程にあるかをトレースしているわけだ。これは大変。どういう仕組みで情報を出しているのかしら。 と考えていたら、私のケータイ電話が鳴った。出ると、ドミノ・ピザの店舗からである。
「備考欄の件ですが」と彼は言う。「マヨネーズで書いただけではたぶん読めないと思うんで、よろしければ、こちらで調整させて頂いて、やってみてよろしいでしょうか。少々お時間を頂きたいのですが……」20分ほど追加の時間が欲しいということらしい。もちろん。よろしくお願いしますよ。
Flashムービーの方は、遅延情報で止まっている。想定外に時間がかかっている場合は、ループする遅延ムービーを表示して時間を稼ぐ仕組み。カミさんはすっかり退屈して、もう自分の本など読んでいる。 ムービーはやっと遅延情報を抜け出し、オーブン内へ。こんがり焼けるピザを何分か眺めた後、梱包を経て、店を出るところでムービーはおしまいだ。
しばらくすると、配達員がやってきた。玄関で支払いをして、受け渡し。 「お待たせしました。ご希望通りにできたかどうか」と配達員は自信なさげ。 いやいや。わがままを聞いて頂いて。チップでも払いたい感じですよ? 箱のまま、何気なくテーブルに載せ、別の準備をするふりをしながら、カミさんに開けさせた。
素晴らしい。ピザクラストをハート型に切り抜いて、その上にケチャップとマヨネーズで「LOVE」とつづってある。
……惚れ惚れする出来映えじゃないか。
カミさんと美味しく頂きました。もちろん、大好評でしたとも。
あんまりこういうイレギュラーな注文が殺到するとドミノ・ピザに迷惑じゃないかしら、と思いつつも、素晴らしいサービスを賞賛したい気持ちが勝ったので紹介。
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