ホノルル:バスで行く楽園1

20080703_105535.jpg最後の寄港地、ホノルル。私はハワイというものに行ったことがない。リゾートって私に似合わないよなぁ。というわけで初ハワイ。 かつては憧れのハワイ航路の象徴だったというアロハ・タワー。船はその近くのクルーズターミナルに到着した。 ターミナルのツーリストインフォメーションでヌウアヌ・パリ展望台へ行く方法について尋ねる。インフォメーションの女性は「ああ、パリね。いいんじゃない」と言うけれど、行き方を尋ねると返答に詰まる。「4番バスで行けるんじゃないかと思うんだけど」と尋ねると、路線図をじっと眺め、4番のバスの路線を指でたどりながら「まあ、いいでしょ、それでいきましょ」と何か曖昧な感じ。やや不安。 4番バスが通るはずの停留所で待つのこと。アロハ・タワーの近くは路線が入り組んでいて、乗り場がわかりにくい。上り線と下り線でルートが違うみたいだし。私はバスに乗る時はいつも心配なので(日本にいる時でさえも心配なんだ!)近くにいた男に「ここで4番が止まりますか?」と尋ねる。「止まるよ」 果たせるかな、そのうち4番バスがやってきて、みんな乗り込む。 ふとっちょの運転手が運転するバスは、停留所ごとに停車しながら進んでいく。とあるコンビニの前の停留所で、運転手が何も言わずふいっと降りていってしまった。そのまま帰ってこない。カミさんと「どこいっちゃったんだ彼は」「トイレかな」と話し合っていると、何事もなかったかのようにポテチを買って戻ってきた。うわ。この人、客を放って買い物してるよ。日本だったら暴動が起きてるぞ。 もう少し先の停留所で客が降りていってしまい、バスの中は我々だけになった。と先ほどのふとっちょの運転手が振り返り「どこへ行く?」と話しかけてきた。「ヌウアヌ・パリへ」と答えると、彼はびっくりしたように「パリ? でもこのバスはパリへは行かないぞ」と返事。えええ。 路線図を見てヌウアヌ・パリへ行くとばかり思いこんでいたが、どうやら山が一つ違うらしい。してみると、我々が持っているどの地図・路線図を見てもはっきりヌウアヌ・パリの場所を書いたものがない。私が誤解していた。 「パリLookout(展望台)には行かない。すまんな」とふとっちょの運転手。「いやいや、私がそう思いこんでいただけだから」と答えながら、善後策を考える。カミさんは土地勘/方向感覚がないので、決定権は私にある。パリ展望台は諦めて、カイルアへ行こう。「カイルアへ行く」と言うと、運転手は「じゃあここで降りて、57番を待つんだ。57番だぞ」と何度も言って、またバスを走らせていった。いいおっさんだ。アロハスピリットの片鱗を見た。 しばらくバス停で待つのこと。これまたなかなか来なくて不安だったけれど、無事57番がやってきて、我々をオアフの北側、カイルアへ連れて行ってくれる。 カイルア・ダウンタウンはちっちゃな町で、ショッピングセンターとかがちょこちょこある。日本人の観光客もたまに見かける。 インフォメーションセンターがあったので立ち寄ってみたが、誰もいない。たぶんポテチでも買いに行っているのだろう。近くを通りがかった清掃員の格好をしたおじさんが話しかけてきた。ハワイでは思案顔でうろうろしていると、必ず誰かが親切に話しかけてくる。「どうした? どこへ行きたいんだ?」「カイルア・ビーチへ行こうと思って」「じゃあ54番のバスに乗って、まっすぐ行って左へ曲がってその先の右へ曲がるトコで降りればいいんだ」とのこと。お礼を言ってインフォメーションを離れる。 近くのスーパーマーケットに入って品物を眺める。巨大スイカやオキナワイモとか売っている。この辺りには沖縄系の移民がいるらしい。相撲を図案化したスモーペンとかもある。ハワイ的だ。 ガイドブックに載っていたいたタロイモチップスを探していると、先ほどの清掃員のおじさんに再遭遇。彼はとことこ近づいてきてまた話しかけてきた「バスいっちゃうぜ」「あ、まぁもうちょっと見ていきたいんで」「そうか」「歩いては行けませんか?」「そうだな……まあ歩いて行けるよ。道を教えてやろう」と親切に道を教えてくれる。アロハスピリットだ。 肝心のタロイモチップスは結局発見できず。ABCストアにしかないらしい。
20080703_065754.jpgショッピングモールからけっこう歩いたけれど、無事カイルア・ビーチにたどり着く。「天国のビーチ」と呼ばれるだけあって、大変風光明媚。白くて青い。キレイ。平日のせいか人は少なく、それもまたオッケー。地元の人が多いのかもしれない。ウィンドサーフィン練習中の少女がいたり、赤ん坊連れの白人がいたり。子どもがたいへんかわいらしい。我々は海には入らなかったけれど、ゆっくり景色を楽しむだけでも大満足でした。オススメ。 ビーチから70番のバスでカイルア・ダウンタウンに戻り、バス57番へ乗り換えるため、バス停で待つ。ここでもおじいさんと若いおっさん?が話しかけてきた。「ワイキキへ行くのか? だったら逆方向の方が早い。時間がかかるけどこっち周りでいいのか? シーライフパーク方面? なら、ここで待てば大丈夫だ」と教えてくれる。ここでもアロハスピリット。
20080703_130305.jpg57番のバスは東回り航路で、オアフ島をぐるりと半周する。ワイキキからカイルア、そしてシーライフパークというテーマパークで名前を58番に変え、オアフ島の東の海岸を通ってダイヤモンドヘッド、そしてワイキキへ戻る。たったの2ドルで周遊観光できる、便利なルートだ。大変時間はかかるが。あと冷房ガンガンなので、上着はあった方がいい。 バスはカイルアのベッドタウンを通過し、ハイウェイに乗る。小さなショッピングセンターを通過し、「この辺にもショッピングセンターがあるんだね」とカミさんと話していたら、後ろの方にいた見知らぬ日系人?から大きな声で「ここが曙の実家だよ。このあたりが出身地なんだ」と解説が飛んできた。うわ、2ドルで解説付きの周遊観光かよ。アロハスピリット、恐るべし。 途中、ビーチからすごい入れ墨のにーちゃんとか乗ってくる。背中に漢字で「勇敢」。たぶんbraveの訳語だが、それを言うなら「勇者」じゃないかと思うんだが。 バスでカハラ、ダイヤモンドヘッドを通り過ぎ、クヒオ通りで下車。近くにABCストアを見つけたので、タロイモチップスを求めて行く。日本語が達者な店員によれば、タロイモチップスはショッピングモールのABCストアにしかないということ。
20080703_142215.jpg名高いワイキキ・ビーチを眺める。マナがこもっている「魔法石」を発見。魔法と聞いたら黙ってられねーぜ。手をかざしてマナを吸収する。ビーチに立っているデューク・カハモナク像も拝む。それから芋の子を洗うような人混みを見物する。カイルア・ビーチならともかく、ここで泳ぐ気にはなれない。
20080703_150429.jpg旅行中、カミさんにラーメンの禁断症状が発生していた。ヨーロッパやアメリカでもラーメン屋を眺めていたが、どうも美味しそうな店がない。禁断症状ますます著しく、ここに来てラーメン屋へ入ることにした。「きわみ亭」「天下一品」「めんちゃんこ亭」と三つ候補があったのだが、「きわみ亭」が昼休みと夜営業の中休みだったこともあり、めんちゃんこ亭に決める。後で訊いたら天下一品はカパフル通りに移転していたらしい。危ないところだった。 めんちゃんこ亭では、きれいな日本語で店員が応対してくれる。ドリンクなし、と伝えると水が出てくるのが日本的。ラーメンととんかつを注文、普通に美味しかった。ラーメン的に元気をとりもどす。日本まであと少しだ。レジ会計も日本的でよろしい。西田敏行氏の色紙&写真を発見。 ビルの脇にあった露天の集まりを抜ける。カイルアで3ドルだったのと同じようなネックレスが15ドルで交渉されていた。いくつかショッピングセンターを抜けたが、ちっとも面白くない。私もカミさんもブランドとか興味ないし。日本語たくさんで、ちっとも外国っぽい感じがしない。アラモアナ・ショッピングセンターのホノルル・コーヒー・カンパニーでコーヒーを飲む。ハワイアン・ラテ。カミさんはフラペチーノ・ワイアラエ。どちらも美味しいよ。 アラモアナ・パークを少し散歩。ホノルル・マラソンの発走地点。友人たちが毎年ホノルル・マラソンに行っているので、その空気を味わうのこと。 バスにてアロハ・タワー方面へ。The Old Spaghetti Factoryを発見。昔は東林間近くの16号線沿いにあって、よく食べたものだ。アメリカではまだ健在なのね。 ガイドブックに書かれていたアロハ・タワー展望台で夕日を見ようと戻ってきたが、展望台は1700時でクローズしていた。ガイドブックでは1900時まで営業って書いてあるのに。本が古いせいか。がっかり。 夜の花火(独立記念日セレモニー)までだいぶ時間があるので、タクシーでタンタロスの丘へ行ってみることにする。15分ほどで山頂の展望台に着いたが、雨が降っていて今ひとつ。がっかり。
20080703_202707.jpgアロハ・タワーに戻って花火に備える。独立記念日のセレモニーであちこちで演奏がなされており、ジェイク島袋という日系の若者のウクレレ演奏が見られるという。そのステージがどこにあるのかわかりづらかったが、なんとか発見。ギター風の奏法で熱演していた。
20080703_210106.jpgで、花火。大きくて立派。みんな大喜び。船に戻って休む。